求人票を見て応募したのに、面接で違う条件を言われた。入社してみたら、仕事内容や勤務時間が求人票と違っていた。仕事探しに慣れていない人ほど、このような場面で「自分の確認不足だったのかな」と一人で抱え込みがちです。
結論から言うと、求人票と実際の条件が違うと感じたら、まずは求人票、面接での説明、労働条件通知書を分けて確認しましょう。求人票は応募前の大事な情報ですが、採用時には労働条件通知書などで実際の契約内容を確認することが重要です。
この記事では、求人票と実際の条件が違うときに何を確認するか、面接・内定・入社後の場面別にどう動くか、ハローワークや労働相談窓口に相談できるケースをまとめます。スポットワークや単発求人で条件が違うときの見方も入れています。
参照:厚生労働省「求人票や求人広告に記載された条件が、実際の条件と違った場合の対処法」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/koyou/q5.html
求人票と実際の条件が違うのはなぜ起きる?
求人票と実際の条件が違う理由は、いくつか考えられます。会社側の記載ミス、採用途中での条件変更、求人票に書ききれていない詳細条件、面接時の説明不足などです。悪意があるとは限りませんが、働く側にとっては生活に関わる大きな問題です。
厚生労働省は、求人票や求人広告に書かれた条件が、ただちに実際の労働契約の内容になるわけではないと説明しています。一方で、採用前の話し合いで条件変更に合意した事情がなければ、求人時の条件が確定したものになると考えられる場合もあります。
つまり、「求人票と違うから必ず違法」と単純に決めるのではなく、いつ、誰から、どの条件を、どのように説明されたかを整理することが大切です。
参照:厚生労働省「求人誌を見て就職しましたが、求人誌に書いてあった給料や勤務時間などの条件と実際の条件が違っていました」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_5.html
まず確認したい3つの資料
条件が違うと感じたら、感覚だけで判断せず、手元の資料を並べて確認しましょう。確認したいのは、求人票、応募・面接時の記録、労働条件通知書や雇用契約書です。
- 応募時に見た求人票や求人広告のスクリーンショット
- 面接で説明された条件のメモ
- 内定通知メールや採用通知
- 労働条件通知書
- 雇用契約書
- シフト表、給与明細、勤怠記録
特に大事なのは、労働条件通知書です。厚生労働省は、労働契約を結ぶときに、会社が労働者へ労働条件を明示する必要があるとしています。契約期間、仕事をする場所、業務内容、労働時間、賃金など、重要な条件は書面で確認するのが基本です。
「口頭で聞いたから大丈夫」と思っていても、あとから言った・言わないになりやすいです。内定を受ける前、または働き始める前に、必ず書面やメールで条件を確認しましょう。
参照:厚生労働省「採用時にはどのような労働条件が明示されるのでしょうか?」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/koyou/q1.html
面接で条件が違うと言われたとき
面接の場で「求人票とは違う条件になります」と言われたら、そのまま流さず理由を確認します。たとえば、求人票では正社員だったのに契約社員と言われる、月給が低くなる、勤務地が変わる、勤務時間が増えるなどは、応募者にとって大きな変更です。
このときは、感情的に反論するよりも、確認する姿勢で聞くほうが話を進めやすくなります。「求人票では月給〇万円と拝見しましたが、面接で提示された金額との違いはなぜでしょうか」「変更後の条件は書面で確認できますか」と聞いてみましょう。
面接で使える確認フレーズ
- 求人票に記載されていた条件との違いを確認させてください
- 変更後の給与、勤務時間、休日を文書でいただけますか
- 試用期間中だけの条件ですか。本採用後も同じですか
- 勤務地や仕事内容が変わる可能性はどの範囲までありますか
- 固定残業代が含まれる場合、何時間分で金額はいくらですか
納得できない条件なら、その場で返事をしなくてかまいません。「持ち帰って確認します」と伝え、求人票と変更後の条件を比較しましょう。急いで承諾すると、あとから断りにくくなります。
内定・入社前に条件が変わったとき
内定後や入社直前に条件が変わることもあります。たとえば、勤務開始日、勤務地、給与、雇用形態、勤務時間、担当業務が変わるケースです。ここで大切なのは、変更後の条件に自分が合意できるかを落ち着いて判断することです。
求人票より条件が下がる場合は、生活への影響を具体的に考えましょう。月給が下がる、交通費が出ない、社会保険に入れない、扶養内の予定が崩れる、保育園の送迎に間に合わないなど、働き始めてから困る点が出るかもしれません。
変更後の条件で働くなら、必ず労働条件通知書や雇用契約書で確認します。口頭説明だけで入社日を迎えるのは避けましょう。書面を出してもらえない場合や、説明が何度も変わる場合は、入社を急がず慎重に判断したほうが安全です。
入社後に仕事内容や給料が違ったとき
入社後に「聞いていた仕事と違う」「求人票より給料が少ない」「残業が多すぎる」と気づくこともあります。この場合は、まず実際の状態を記録します。出勤日、勤務時間、仕事内容、残業時間、給与明細、上司からの指示などを整理しましょう。
そのうえで、労働条件通知書や雇用契約書と照らし合わせます。求人票と違うだけでなく、採用時に明示された条件とも違う場合は、会社に確認する根拠がはっきりします。
会社へ確認するときは、次のように具体的に伝えます。「労働条件通知書では勤務時間が9時から18時となっていますが、実際は毎日8時30分出社を求められています。今後の扱いを確認させてください」のように、資料と事実をセットで示すと話し合いやすくなります。
一人で会社に言いにくい場合は、外部の相談窓口を使ってかまいません。厚生労働省は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなど、労働問題に関する相談窓口を案内しています。
参照:厚生労働省「相談窓口等一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/soudanmadogutitou/itiran/index.html
スポットワーク・単発求人で条件が違うとき
スポットワークや単発求人は、短時間で働ける便利な選択肢です。ただし、勤務日数が短いぶん、条件確認を省いてしまいがちです。集合場所、実際の勤務場所、交通費、持ち物、キャンセル時の扱い、賃金の支払日などは、応募前に確認しておきましょう。
厚生労働省は、スポットワークを「短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働くこと」と説明しています。短時間の仕事でも、労働条件の確認は必要です。
スポットワークで条件が違うと感じたら、アプリ上の募集内容、勤務確定画面、企業とのメッセージ、実際の勤務時間、報酬額を保存します。勤務先に確認しても解決しない場合は、アプリ運営会社の窓口、労働相談窓口などへ相談する流れになります。
参照:厚生労働省「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html
ハローワーク求人なら申出窓口がある
ハローワークやハローワークインターネットサービスの求人で、求人票と実際の条件が違う場合は、ハローワーク求人ホットラインや最寄りのハローワークに申し出できます。
ハローワークインターネットサービスでは、求人票より低い賃金を提示された、求人票と違う仕事内容だった、正社員と聞いて応募したのに非正規雇用だった、求人票にはなかった勤務地を提示された、社会保険に加入していないなどの例が案内されています。
厚生労働省は、ハローワークの求人票と実際が異なる旨の申出件数も公表しています。令和6年度の申出等の件数は3,297件です。条件違いは「自分だけの勘違い」と決めつけず、必要なら相談してよい問題です。
参照:ハローワークインターネットサービス「ハローワークの求人票と実際が異なる旨の申し出等について」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/member/hotline.html
参照:厚生労働省「ハローワークの求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/hellowork/hellowork_kyuujinnaiyou.html
条件違いを防ぐ応募前チェックリスト
求人票と実際の条件のズレを完全になくすことは難しいですが、応募前の確認でリスクは下げられます。特に、主婦の仕事復帰や初めての転職では、給与だけでなく生活との相性まで見ておきましょう。
- 仕事内容を具体的に説明できる
- 雇用形態と契約期間を確認した
- 給与の内訳、固定残業代、手当を確認した
- 勤務時間、休憩、休日、残業の有無を確認した
- 試用期間中の条件が本採用後と同じか確認した
- 勤務地、転勤、業務変更の範囲を確認した
- 社会保険や雇用保険の加入条件を確認した
- スポットワークの場合は集合場所、持ち物、報酬、キャンセル時の扱いを確認した
- 面接で質問することをメモした
求人票を見て少しでも気になる点があるなら、応募前や面接時に確認しましょう。きちんと説明してくれる会社なら、質問しても不自然ではありません。逆に、条件確認を嫌がる、答えが毎回変わる、書面を出してくれない場合は、慎重に判断したほうがよいでしょう。
まとめ
求人票と実際の条件が違うときは、まず求人票、面接での説明、労働条件通知書を分けて確認します。求人票は応募前の情報であり、採用時には労働条件通知書や雇用契約書で実際の契約内容を確認することが大切です。
面接や内定時に条件が変わったら、理由を聞き、変更後の条件を書面で確認しましょう。入社後に違いに気づいた場合は、勤務記録や給与明細などを残し、会社へ具体的に確認します。
ハローワーク求人なら、ハローワーク求人ホットラインや最寄りのハローワークに申し出できます。労働条件で困った場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーも相談先になります。迷ったときほど、早めに記録を残し、一人で抱え込まないことが大切です。


